民法587条 消費貸借
消費貸借は当事者の一方が種類、品質及び数量の同じものをもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効果を生ずる
返還の約束と金銭の授受
事例
YはXに300万円を、弁済期を1ヶ月後と定めて貸し付けた
しかしXは期限になっても貸金を返済しない
Yはどうしたらいいのか?
解説
これは民法上金銭消費貸借契約になります
しかし、借りたお金を返さないからという犯罪はありません
借りた金を返させる為の制度を使います
民法414条 履行の強制これを使う為の手続法民事訴訟法です
この事例においての法律要件は揃っています
法律効果は貸金の返還請求権です
備考
私人間の約束事ですが約束を守らないと契約の信頼性を高めることができず
私人間の自由な契約での経済の発展ができません

訴訟に勝つには
一番はXがお金を借りて返していないことを裁判所で認めることです
しかし、Xが認めない場合はYに立証責任があります
立証責任の内容
1.返還の約束
2.金銭の授受
3.弁済期の到来
必要書類:借用書
民法上は口頭での返還約束も有効ですが借用書がないと貸したことの証明が難しい
裁判
立証が成功すると裁判所は判決文を書いてくれます
判決主文XはYに金300万円を支払え
これでやっと判決がでます
ただ、この時点では判決書きはただの紙切れです
そこでYは強制執行の手続きをとる必要があります
強制執行できなかったら
Xに財産がなかったらどうなるのか(Xの無資力)
YはXの一般財産を差押えて売却するしか債権を回収する方法がありません
Xに責任財産がない以上Yは何もできません(債務者破産)
民法414条 履行の強制
1 債務者が任意に債務の履行をしないときは、債権者は、その強制履行を裁判所に請求することができる
ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない
2 債務の性質が強制履行を許さない
語句の意味/div>
民事訴訟では訴えを提起するかどうかはYの自由です
国家は制度を用意するがそれを利用するかしないかは私的自治の問題
私人は自分の権利を自由に処分できると言うこと
備考
不起訴の合意…債務が履行されなくても起訴しませんとうい合意
この場合、債務は自然債務となる
処分権主義
手続法…権利義務の実現のために執(と)るべき手続き、方法を規律する法律
私的自治…個人の身分および財産についての法律関係を個人の自由な意思にまかせて律しようとすること
近代私法の一理想
自然債務…債務者が任意に履行すれば有効な弁済となる(不当利益はない)が債権者がこれを強制することのできない債務のこと(時効援用された債務など)
立証責任…裁判で相手に過失があったかどうか裁判官はわからないので、裁判に勝つ為に相手の過失を立証する責任の事
強制執行…不動産執行、動産執行、債務執行があります
いずれもXの財産を差し押さえてXの意思に反して売却等を行う手続きです
Xの財産を国家権力が勝手に売却すること
強制競売…その売却代金から300万円をYに渡すという仕組みです
差押え…金銭債権を満足させることを目的とする強制執行手続きで債務者の目的財産への処分行為を禁止すること
一般財産(責任財産)…Xの財産の中でYが差し押さえることのできる財産
債務者破産…Xに責任財産がない以上Yは何もできないこと